在宅就労の導入について
2019年8月新篠津村に住む友人から、当別町に住む50歳代の友人の相談がありました。
30歳の時に統合失調症を発症して、入退院を繰り返した後、家から殆ど出ることなく80歳代の両親と暮らしている。家に行ってみると、話好きで、初対面でもいろいろお話をしてくれました。ただ、もう20年以上、病院以外は他人との付き合いが殆どなく、何か支援の方法はないか?と考えていました。
ある時、ネットでいろいろ調べていると「就労継続支援B型の在宅就労」という言葉が出て来ました。調べて行くと、いろいろ条件はあるものの、家から出ることが出来ない方に提供出来る支援のようでした。しかし、相談室や他の就労支援の事業所に問い合わせるも「聞いたこともない」と。とりあえず厚生労働省(東京)に電話で問い合わせるも、たらい回しされ、やっともらったのは「ありますよ」と。
当別町役場へ相談に行ったところ、事前の電話を受けて、担当がいろいろ調べていてくれて、とてもスムーズに導入することが出来ました。
■在宅就労の必須事項「1日二回の連絡」というのがあります。しかし今回はご本人携帯電話を持っておらず(今まで必要なかったので、、)まずは会社で携帯を契約して、お貸しすることにしてLINEの練習から始めました。
2021年4月の改訂で「在宅就労」が多様な働き方という考え方から本人の希望で行えるようになりました。当施設では7月から本格的に、家から出られなかった方に在宅就労を提供しています。日中作業を行うことで 不眠の解消につながることを目標にしています。
在宅就労では、毎日の作業開始前と作業終了をLINEやメールでお知らせして頂くことになっています。また、週に1回はこちらから訪問(材料を届けたり、出来上がったものを回収します)または通所して頂きます。
他者との交流が少なかった方にとって、1日2回のLINEなども大変かとは思いますが、みなさん、頑張って連絡をしてくださいます。
2019年の夏に初めて「在宅就労」という言葉に出会い、当時はまだ、実施しているところが少なく、厚生労働省に電話で問い合わせをしたり、北海道の福祉課との懇談などを経て、実施方法を確認しながらスタートしました。その時は家から出られないことの証明が必要でしたが、その後、コロナ禍において「本人が(感染の不安なども含めて)在宅就労を希望したら実施可能」と利用条件が緩和されました。しかし、2020年度は「但し、コロナが落ち着いたら通所に戻すこと」という但書がありました。そして、昨年2021年の春からは但書が外され「本人が希望したら在宅就労が可能」となりました。とはいえ、通所が出来る方ならするでしょうし、結果的にはなんらかの理由で在宅就労をせざるを得ないというのが実情です。
ケース1
ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症しており、少しづつ身体が動かなくなって来ています。毎日連絡を取り合い、チラシの折りを行ってもらっています。
ケース2
ひとり暮らしをしていましたが、金銭管理が出来ず、グループホームへ入居も部屋から出ることが殆どないとのことでグループホームから在宅就労の依頼がありスタート。初めは、こちらから「作業出来そうですか?」と連絡しないと自分からの連絡がありませんでしたが、何度かやり取りするうちに「今日は二枚描きました」と連絡をくれるようになっています。
ケース3
癌のステージ4と診断され家で過ごしていましたが「社会とのつながりを持ちながら生きたい」との事で在宅就労を開始。LINEなどの操作が元々苦手との事でしたが、「LINEを覚えてみる」と意欲が見られて、まずはLINEの操作の練習からスタート。今では毎日LINEでやり取りが出来るようになりました。
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